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ケーキ&パン店の接客シリーズのはじまり

第2章 応用編 お客様のタイプとその対応

11 応酬話法のテクニック

◆つぶやきの本音を捉える

お客様がケースの中を眺めながら、「おいしそうね」とうれしそうな顔をして選んでいる時には、声もかけやすく、商品説明もしやすいものです。

しかし、気難しい顔をして眺めているお客様は、気に入っているのか、そうでないのかが、読み取りにくいものです。そのようなお客様が「太りそう」とか「ずいぶん甘そうね」などとつぶやいた時は、声のかけ方にも注意が必要です。

お客様が商品をけなしているように聞こえますが、それはあくまでも表面上でのこと。お客様の本音は、「太りそうだけどとてもおいしそう」とか「甘そうだけど食べたいな」と思っている場合が多いものです。

このような時には、お客様の本音を推察しながら、「見た目ほどでもございません。ヘルシーケーキですから」といったように、お客様の意向に添うように適切な説明をしていくと納得してもらえます。これを応酬話法といいます。

イラスト松永るみ子

◆お客様の一言をきっかけに

いろいろなケースでの応酬話法を考えてみましょう。接客のテクニックとして参考にしてください。

「甘そうね」と言われたら「召し上がってみると、それほどでもありません。糖分は押さえ気味ですので」。「ずいぶん量が多いのね」と言われたら「こちらのおまんじゅうは召し上がらない分は、ラップで包んで冷凍してください。召し上がる時に電子レンジで少し温めていただくと、出来たて同様になります」

「重そうね」と言われたら「当店では宅配便を承っておりますので、よろしかったらご利用くださいませ」。「高いのね」と言われたら「当店では商品の一つ一つが手作りになっております。この季節だけの商品ですので、季節感を味わっていただけると思います」。

「見慣れないお菓子ね」と言われたら「こちらは新商品なんです。最近販売を始めました。数を限定しておりますので」。

このようにお客様がつぶやいたひと言を上手に汲みとり、商品説明やおすすめのきっかけ作りができるようになれば、プロの販売員と言えるでしょう。

もちろん、応酬話法でお客様に買わせればよいというわけではありません。  応酬話法は、豊富な商品知識を身につけると同時に、それをひとり一人のお客様のニーズに合わせて活用し、よりよい販売をしていくためのものです。一方的な押し付けでは、お客様は満足してくれません。

お客様の潜在的な疑問を引き出し、それに対して適切な解説をしていくわけです。しかし、お客様の疑問に対しては頭ごなしに否定しないように注意してください。

おもてなしの心を大切に『ワクワク接客講座』ポイント24